ちんちらの飼育
[あなたの環境で飼えますか?]
まずかんぱん王国ではじめに書きたいこと。それはたばこです。
喫煙者が悪いとは言いませんし、思いません。立派な納税者です。今やその税収は地方公共団体では決して無視することが出来ず「たばこは自分の町で」な〜んていう看板も立つくらいですから。
しかし!!小動物を飼育する場合にはそうは言えません。たばこは健康によい物でしょうか?はいと言った方は150年ほど常識が遅れているようです。江戸時代、たばこの煙は病魔を遠のけると信じられていたそうです。しかし、残念ながら現代医学ではこの節は否定されています。
さて、突然ですが、ちんちらの体重はどれくらいあるかみなさんご存じですか!?出生時は50gほどで、よっぽど大きなちんちらでなければ1kgには達しません。せいぜい600gというところでしょう。薬物というのは、体重と比例してその量が必要となります。動物病院ではじめに体重を量るのはこのためです。簡単に説明すると、30kgの犬は5kgの犬の6倍量の薬を飲まないと効果がありません。
さて、ここまでお読みいただき、おわかりいただけましたでしょうか。体重600gのちんちらが、人間でも有毒な副流煙を浴びたらどうなるでしょう??成人60kgとして簡単に計算すれば
60kg / 600g = 60000g / 600g = 100(倍)
そう、100倍、ちんちらべいべなら約1000倍、人より感受性が高い計算になります。これくらいなら大丈夫だろうなんて思って吸っていても、ちんちらにとっては1本吸われれば100本吸われたのと同じなのです。1日100本分の副流煙を浴びる環境を想像してみて下さい。嫌煙家なら発狂してますね。喫煙者の方でも少し多いように思われるのではないでしょうか。
なのでかんぱん王国から一つ目のお願いです。たばこを吸われる方、またご家族で吸われる方がいらっしゃる時、「完全な禁煙ルーム」が出来ないのであればちんちらの飼育をあきらめて下さい。ちんちらはケージから自分では逃げられません。あなたは火事の体に悪い黒煙の中に縛り付けられて生きていきたいですか?ちんちらをかわいいと思うのであれば、なおさら、環境が無理なのであれば飼わないこともまた勇気です。
さて、たばこも含めて、ちんちらを飼うためには以下のような環境が必要です。
* 部屋の温度が18℃以下・25℃以上にならないこと
飼育書には15〜20℃と書いてあるものもありますが、人の環境で飼うためか、毛皮をかぶっているくせに意外と寒がりです。
* 1日1度以上、ちんちらを確認し世話(餌・水)ができること
* たばこなどの薬物に暴露されない環境に保てること
* 猫などの他の動物から危害が与えられない環境を確保すること
ちんちらは不用心に手を出したりするので高率にやられると思われます
* 最後の最後までしっかり飼う責任を持つこと
全てにおいて肯定するわけではないですが、飼えなくなったときに里子に出すのも1つの責任かも知れません
最初のページに書きましたが、ちんちらはぬいぐるみですか!?もちろんNOです。れっきとした動物です。においもなく、うるさくもなく、っと都合の良い動物ですが、あくまで動物です。そもそも都合がよいと思う自体が人間のエゴですが・・・。
繰り返しになりますが、環境が揃えられないのであれば、飼わないのも、かわいがる勇気です。
[ケージの準備と環境作り]
かんぱん王国では、他のページで説明してますが、手作りケージで飼育しています。手作りケージは「安価」で、生活空間にあわせられるため「使いやすい」という利点があるのですが、ちゃんとちんちらを観察してから作らないと「脱走」という最悪のデメリットが考えられます。最初から手作りケージも夢があって良いですが、手作りケージの経験者が周りにいなければ、とりあえず市販のケージで飼育してみた方がよいのではないかと個人的には思います。
さて、まずケージの選び方ですが、どれくらいの生体から飼い始めるか、つまり何ヶ月・何歳の子から飼い始めるのかと言うことです。なぜなら、安価で便利なケージとして「キャットケージ(猫用のケージ)」があるのですが、成長期のちんちらであれば、網の間から人間界にやってきます。脱走ですね。だいたいピッチが2.5cm程度だと大人のちんちらは出られません。
※ あくまで数値は参考です
お奨めのケージとしては、三晃さんのイージーホーム(http://www.sanko-wild.com/animal/a_chin_00.htm)をかんぱん王国ではお奨めしています。かんぱん王国では出産・子育て用のケージに使わせてもらっています。ピッチ間は約1cmで縦横に等間隔、非常にしっかりしています。少し前まで種類が少なかったのですが、今は5種類もあるので、お住まいの環境に合わせて選べるのではないでしょうか。
続いてケージの床材です。イージーホームの関連商品に金網があるのですが、足を挟む恐れと、硬すぎて足の裏を悪くするケースが多いのでお奨めできません。それでは木製すのこを、っと思う方もいると思うのですが、これも足を挟む恐れがあるため注意が必要です。これらの商品、うさぎの足のサイズを基準として作られているため、ちんちらには少しピッチがあぶないと言うことを頭にとどめておく必要があります。ただ、ケージの掃除はすのこがあった方が楽ちん、っということもあるので、ぜひ工夫してみて下さい。大事なのは危険性を認識することだと思っています。
さて、床材として良いとされるのは、「敷き牧草」や「おがくず」です。しかし、おしっこの処理が不十分で不衛生になりがちなので、かんぱん王国では使用していません(出産・子育ての時期には使用しています)。また、おがくずや敷き牧草は、ブリーダーさんのところで幼少時に床材なっている場合が多く、またその多くがトイレが無い環境で飼育されているため、これらの床材に反射的におしっこをしてしまう子も少なくないようです。ただ、足の裏の健康状態を維持するためには、これらの床材は推奨されています。
ちんちらは不用意にかじるので、新聞紙やダンボール、犬猫用のトイレシーツ、トイレ砂をそのまま敷くことはやめた方が良いとされます。まれにトイレシーツでの成功例も見ますが、成功例の方からの里子で無い限りは、成功する可能性は低いのではないかと考えます。
市販ケージではないので参考になるかは分からないですが、有機御殿では床材は煉瓦と木ステージ、大奥御殿では押し入れ用の桐すのこ(踏み板部分が5cm程度、隙間2cm程度)です。
さて、引き続いてはケージのレイアウトです。小動物はたばこの説明でもあったように化学製品によわいので、「合板等は避けた方が良い」、っと飼育書などに書いてあるのですが、あちらこちらのホームページでラワン材やパイン材が推奨されています。何故だか分かりません、謎です。加工がしやすいからでしょうか?安価だから?結局の所わからないのですが、かんぱん王国でも試験的に使っておりますが、今のところ問題はなさそうです。ただしかじり木(後述)は食べてしまう子も少なくないので気をつけましょう。また、合板をこれだけ推奨していて難ですが、一般的に小動物は針葉樹木でアレルギーを起こすとされています。頭の片隅に置いておいて下さい。
レイアウトは、まず物品を買う前に考えておいた方が良いと思います。というのが、値段を診ていただければ分かると思いますが、小動物用品は、意外と高額です。
レイアウトは参考にするページがあると考えやすいのではないかと思います。もちろんかんぱん王国のホームページを参考にしていただければ光栄ですが、せっかくなので他のページを紹介しておきます。以下のURL、英語のページですが、ちんちらが楽しそうにすごしている様子が見て取れると思います。
http://www.the-white-pages-of-chinchilla-pictures.com/
レイアウトのコツですが、ちんちらべいべから飼い始めるのであればステージの高さは20cmごと、成体であれば30cm程度まで大丈夫です。ただし6歳以上になった頃から少しずつまたステージを増やした方がよいかと思います。
ここでちょっと大切なことです。ちんちらは「非常に思い込みが激しい動物」でして、一度ケージの環境を覚えると、よく見ないで行動します。その為、急にステージを外すと下まで落下します。ゆっくりはずす訳にもいかないのでいつも頭を悩ませているのですが、模様替えは慎重に。
一般的にケージの中に最低限必要な物は、小屋(匹数+1)、かじり木、牧草フィーダー、えさ入れ、ウォーターボトルと言ったところだと思います。どれも代用品で工夫することも出来ると思います。ただ、かじり木だけは、食べてしまう心配もあるので市販の物の方が良いのではないかと感じています。木以外にも、へちまや軽石も存在します。
他の項目でも説明しますが、砂浴び用の入れ物は1日1回入れればよいので、常時入れておく必要はありません。
トイレの設置には賛否があるようですが、かんぱん王国では全てのケージでトイレを設置しています。これは、床材がおしっこを吸収しない物のため、体を汚さない・衛生状態を保つという理由です。トイレの設置場所にはコツがあり、一番人間から遠い、もっとも下の、異素材の場所です(かんぱん研究所より)。かんぱん研究所の一番の成果とも言えるこの結果、ぜひ試してみて下さい。有機御殿では9割以上成功しています。
ちなみにトイレにしてくれるのはおしっこだけです。うんちは・・・麦チョコが散らかります。踏んで痛いと感じるくらい硬いので、掃除機やほうきで簡単に掃除ができます。
ケージが出来たら次は環境作りです。ちんちらは野生では一晩に数km移動するとされています。一夫多妻のちんちら社会、そのテリトリーはかなり広いようです。
さて、ケージの中でそんなに動けるでしょうか!?動けたら凄いですね。エアロビマシンでも無ければ無理ですね。
この運動不足を解消するために1日1回、決まった時間に部屋を散歩させてあげる必要があります。あくまで部屋の中です、お間違えなく。かんぱん王国では現在散歩をしない代わりにケージを広く作っていますが、ちんちらは散歩をさせ、いっぱい遊べば絆も深まり、手乗りちんちら、腹乗りちんちらなど夢ではなくなります。散歩の時間の目安は決まっているわけではないですが、30分も散歩させると疲れて動きが鈍くなります。早めに戻すと「もっと出せ!!」と言わんばかりにケージをガタガタさせる(子が多い)ので、30分程度を目安にすると良いのかも知れません。
部屋を散歩させる前に、部屋の安全対策をしましょう。コードはむき出しになってませんか?家具の裏など入られそうな場所は塞ぎましたか?危険な物は落ちてませんか?壁紙などかじられそうな物の対策は出来てますか?どんなに対策をしては、「あ゛〜」(試せば分かります)とはなるのですが、彼らの健康を損なわないためにも先手を打つようにしましょう。
また、ちんちらは平気で1mくらいジャンプします。テーブルの上なども、万が一乗っても危険がないように注意して下さい。
さて、先ほどエアロビマシンなどと冗談で書きましたが、あまり散歩の時間が長く取れない人は「回し車」という手もあります。これだけで足りるとは思いませんが、検討するのも良いのではないでしょうか。また、「決まった時間に」と書きましたが、犬が散歩を待つように、ちんちらも同じ時間に散歩を待ちます。散歩に慣れてくると、時間になるとケージの開口部の前で待ってます。期待を裏切るとストレスにもなりますので、ちんちらの気持ちを考えて散歩をしてあげて下さい。
[ペレットと牧草&おやつ]
人間は「飯食い」「おかず食い」などと表現される人がいます。軽い偏食っになるのでしょうか。
さて、ちんちらの餌として「ペレット」や「牧草」が挙げられます。人間で言うところの
「飯」 = 「牧草」 「おかず」 = 「ペレット」
になります。つまりどっちかだけで良いという物ではありません。
ペレットの選び方ですが、かんぱん王国では3種類以上のフードをブレンドして与えることを推奨しています。これは1つの製品に偏りすぎないという点と、欠品になった場合などの急な餌の転換を避けるためです。また、ちんちらが極めて気まぐれな生き物であるという点も挙げられます。
あくまで一般論ですが、動物は餌を急に変えるとしばらく食欲が落ちます。有機御殿と大奥御殿でブレンド比は違うのですが、有機御殿では、ちんちらフード3種類以上にうさぎフード1種類以上をブレンドしています。うさぎフードをブレンドしている理由は、繊維質が多く、また少々メタボな有機のダイエットを兼ね、カロリー別に売っているうさぎフードが適しているのではないかと考えているためです。実際にかんぱん王国で使用しているフードについては別のページで紹介します。
「きまぐれ・・・」についてですが、ちんちらは何故か毎日嗜好が少しずつ違います。その為数種類ブレンドして給餌すると毎日残るペレットが変わります。選び食い、っといっても次の日も同じペレットが残っているとは限らないので、「栄養価でも考えて食べてるのか?」などと勝手に考えています(そんなはずはないと思いますが・・・)。ただ、選ぶことで楽しみが増え、1つの遊びになっていることは間違いないようです。食べ物で遊ばせるなんて・・・とも思わなくもないですが、楽しくストレスが溜まらなければそれで良いかな、などと考えています。
続いて牧草の選び方です。主な牧草としては、チモシーやオーチャードグラスなどのイネ科牧草とアルファルファやクローバーに代表されるマメ科牧草があります。イネ科牧草の方が繊維質が高く、マメ科牧草の方が蛋白質、嗜好性が高く高カロリーという特徴があります。そのため両方を一度に入れるとマメ科牧草が先になくなります。かんぱん王国では成長期の子供にだけマメ科牧草を与えています。成体には現在はMIX牧草にて給餌しているため細かい素性は不明ですが、いろいろな種類の牧草が入っているため楽しんで探しながら食べています。
また、牧草の購入先ですが、ペットショップで売っている牧草、物によっては古かったりする物もあるので自分の目で確かめてみて下さい。牧草に関してはネット通販、製造時期が分かり、内容も自分でしっかり選べるのでお奨めです。
おすすめサイト : どうぶつのごちそう
/// 牧草マーケット
牧草ではなくキューブ牧草で、と考えている方もいるのではないでしょうか。組成などは問題ないとされているのでよいのかも知れませんが、できるだけ自然の物で、をコンセプトとしているかんぱん王国では補助的にしか使っていません。何となく食べにくそうな感じがするためですが・・・。ちなみに現在、子育てケージでのアルファルファはキューブです。
餌の交換のタイミングについてです。ちんちらはきれい好きというか、結構贅沢な生き物で、少しでも古くなった牧草やペレットは口にしなくなります。そのため、ペレットも牧草も基本的に毎日交換してあげてください。また、犬猫の半生状のペレットは存在しないですが、粉ミルクなどをかけている場合、夏場は特に注意して下さい。
餌の量については、その個体個体によって違うので一概には言えないですが、かんぱん王国では一匹に付きペレットは大さじ山盛り1杯/日、牧草一つかみ/日です。ペレットは大体消費されますが、牧草は捨てる量の方が多いですが、好きな部分を選んで食べているのであきらめています。
牧草の消費量が少なくなると、とたんにうんちが小さくなるのが分かります。人間も動物も繊維質は重要なようです(ちんちらは草食動物なので基本的にセルロースの役割は違いますが・・・)。
乾き物ではありますが、餌や牧草の買い置きもあまり古くなるのは良くなさそうです。開封後1ヶ月程度で使い切れるように調節して購入しましょう。特に牧草は古くなると急に食いが悪くなります。また、ペレットなど乾き物には乾燥剤などを同封しましょう。
先ほど粉ミルクについて少し触れましたが、ペレットの上に粉ミルクを粉のままかけて給餌する方法があります。有機御殿では移動前後に行なっています。かける量は小さじいっぱいほど、ミルクが好きな子であれば食べる量が多くなります。
また、日頃からミルクを飲ませる訓練をするのも、怪我や病気をしたときに薬を飲ませる練習にもなるのでよいかと思います。以前はネットのあちらこちらで推奨されている注射シリンジ(注射器の針を外した物)や点眼瓶での給餌をお奨めしていたのですが、誤嚥の危険性があるので、現在はスプーンでの給餌をお奨めしています。スプーン上にお湯で溶いて人肌にさましたミルクを乗せ、飲ませるという方法です。最初は抑えていないと飲んでくれませんが、そのうち保定なしで飲んでくれるようになる子もいます。
先ほど同様ですが、ミルク、良く缶で買われる方いるかもしれませんが、これも古くなりますので、あまり大きな物で買わず、もったいなくても古い物は処分しながら使う方が良いかと思います。冷蔵庫で保存しては開封後数ヶ月ではないでしょうか。
ミルクの話のついでに、飲み水についてです。ウォーターボトルにリンゴ酢を小さじ1杯程度入れておくと飲水量が増えるというのは有名な話です。これと同様に、ビタシロップなど市販の小動物用ビタミン剤を入れることで、季節代わりや移動前後に栄養を強化する方法があります。ただし、使い終わったあとの洗浄は念入りに行なって下さい。また、1日以上ビタミン剤等を入れて放置するのは危険です。特に夏場は注意して下さい。
水ついでにもう1点。災害時の水確保のために、ちんちら用の水(市販)を1週間分ほど買い置きしておきましょう。水道水であれば問題はないのですが、コンビニ等で売っているミネラルウォーター、チンチラには不向きです。ちんちらは尿路結石になりやすいため、ミネラル分の多い水は適しません。
最後におやつについてです。おやつは数がもの凄く出ていて、ついついあげすぎてしまいがちです。特に実家等に帰省したときや、友達が遊びに来たときなど、おやつをばんばん・・・なんてこともあるのではないでしょうか。
解剖学的な話になりますが、ちんちらは胆嚢がありません。つまり少量の油脂分しか分解することが出来ません。その為、木の実などを必要以上に給餌すると消化不良を起こしかねません。なのでおやつのあげすぎには十分に注意しましょう。
分量で言えば、木の実であればピーナッツ大は数日に1個、市販の乾燥バナナ1切れといったとこでしょう。しかし、おやつ、、、あげたいじゃないですか。なので乾燥キャベツやオオバコの葉など買っておくと良いかと思います。特にオオバコやタンポポ、パセリなど利尿作用があるおやつは、尿路結石予防にもなるので、お奨めです。
※ ここで言うオオバコなどは市販されている小動物用おやつをさしています。
[生体の選び方]
ケージの準備は出来ましたか??ケージは組み立てるだけでなく、ちゃんと物品を全て配置し、ちんちらが受け入れられる状態になってますか?何もないモデルルームには住めませんし、引っ越ししたてだとどっかホテルとかに泊まることもありますよね。
個体を選ぶ前に、まず選ぶのはペットショップです。イヌ・ネコが多数近くにいるペットショップではかなりストレスで弱ってる子が多く見受けられます。
また、ペットショップの空調も選ぶポイントかも知れません。先ほど18℃以下・25℃以上にはならない環境、と書きましたが、ペットショップは照明などで25℃以上では・・・と思える環境が多々見受けられます。熱帯夜、あなたは布団をかぶって寝られますか?ちんちらはアンデスの山々で生活するだけの毛皮を持っています。暑さは大敵です。
ちんちらケージに入っている物品も確認しましょう。水・餌はきれいですか?餌はちんちら用の物が給餌されていますか?砂浴びの環境はありますか?かじれそうなものはありますか?どれ1つ取っても絶対に不可欠な物です。
それでは個体の選び方です。
1つ目は、毛がきれいかどうか。飼育したことがない人だとわかりにくいかとは思いますが、ストレスのある環境や砂浴びが出来ていないチンチラの毛は、見た目が「がさがさ」になります。また、涙やけなども砂浴びやストレスの指標になります。ここ1年ほど、涙焼けした子を良く目撃します。
2つ目はうんちの大きさです。ちんちらの最も分かり易い健康のバロメーターです。ペットショップはある程度のストレスのある環境ではありますが、1cm以上あることを確認しましょう。1cm未満で、生後半年以上の生体であれば、ペットショップの環境(餌・ストレスなど)で、消化管の未発達が伺えます。
3つ目は個体情報の確認です。若い子の方が良い、と言うわけではありません。あくまで情報についてです。前に書いたように、ちんちらは国内繁殖か海外で繁殖され輸入された個体しかペットとして存在しません。現在動物愛護法で動物を扱う全ての施設は届出が義務化されており、当然ブリーダーも同じです。その為国内であれば出生元ははっきりしているはずです。また、海外から入ってくる個体についても、検疫法にて齧歯類はたとえ死亡獣であっても届出がされているはずなので、個体情報は存在するはずです。つまりきちんと管理しているペットショップであれば、出生地や生年月(日)くらいは最低でも分かるはずです。出所が分からない、情報がない子が全て問題とは思いませんが、1つ判断する項目になるのではないかと思います。また、先ほど年齢について触れましたが、ある程度管理されたペットショップであれば大きい分には問題ないと思います。粗悪な環境のペットショップでは問題ですが・・・。しかし、もし生後1ヶ月以内の子が並んでいるのであれば早すぎます。離乳後、社会性を親から教わるのに2ヶ月程度かかります。ただ、現状としては多くの場合、1ヶ月の離乳を目安に引き離すので、2ヶ月以内の子は普通にいますが、あまりに小さい個体の場合は、かわいいと思うだけでなく、疑問に持つことも大切だと思います。
また、参考までにですが、自分の指を噛ませてみるという手もあります。甘噛みが出来る子かどうかのチェックです。ただ、ペットショップで初めてあった人にちんちらも緊張しているので、確実には分かりません。どんな子でも警戒しているときや興奮しているときは強く噛みます。ただ、ここで甘噛みが出来る子だと確認できると、相当人慣れしている指標にはなるのではないかと思います。ただしあくまでルール違反の行為なので、買うかどうか最終的に迷って、お店の人にだっこさせてもらうときなどに行ないましょう。また、予想以上に強く噛む子もいるので(出血を伴うこともあります)、あくまで自己責任で行なって下さい。甘噛みについては噛み癖の項目として、別途記載します。
話は少し変わりますが、最初から複数頭飼いするとき、特にペアリングを考えているときは、必ずお店の人に兄弟や近い親戚でないことを確認しましょう。もし、あやふやな回答しかないときは、♂♀ともに同じペットショップで買うのは危険かも知れません。近親交配は時として、隠れた劣勢遺伝があらわになることがあります。
同様に、某大手ペットショップではペアリングされている状態で販売され、さらに子供まで一緒に・・・などというところもあります。善悪の判断は我々飼い主でなければ出来ない時代のようです。
個体の移動時は、りんごを1/8個に切って入れておくとウォーターボトル代わりになります。多角形に角が出るように切ると食べやすいようです。ウォーターボトルは水漏れや歯が引っかかる危険があるので、静止時でなければやめた方が良いと思います。キャリーバッグはつぶれない物がおすすめです。移動時はあまり広すぎるケージではなく、ハムスターケージや虫かごなどがお奨めです。
[動物病院で診てくれない!?]
Q.ちんちらを診てくれない動物病院ってあるんですか?
A.ほとんどの動物病院で診れないと言った方が良いかもしれないです。
獣医師法という法律で定められている診療動物にちんちらは入ってません。一応「家庭で飼育される動物」に該当はするのですが、もともと病気も少ない動物と言うこともあって、ほとんどの町の獣医さんはちんちらの知識がありません。ただし、「応召の義務」というのが獣医師法にあり、かならず診察しなければいけないことになっているので、診てはくれますが、分からないと言われて終わる病院も少なくないでしょう。電話予約すると最初から断られるケースもざらです。
そのため、日頃から診察してもらえる動物病院を探しておくことが重要です。いざというときに初診ではあまりに心許ないので、定期的に健康診断を受けましょう。ちんちらの場合、犬や猫のように健康の基準値がありません。基準値は健康なときのあなたのちんちらです。また手術が簡単にできる動物ではありません。血管留置(点滴など)自体も、体重が軽く、また注射すら難しいため麻酔維持も難しい動物です。病気や怪我を未然に防ぐためにも健康診断は効果的です。
小動物を診てくれる獣医さん、熱心な先生が多く、きっと飼育相談にも乗ってくれるのではないかと思います。
SBSコーポレーションのホームページに全国のちんちらを診察してくれる動物病院が紹介されています。参考にしてみて下さい。
http://www.sbspet.com/chin/clinic.html
[かじり木って何のため?]
恐竜は死ぬまで歯が抜け続ける、ってご存じですか!?いつも虫歯にならなくて良いな〜などと思っているのですが、ちんちらの所属する齧歯目の動物は、抜け替わるのではなく、爪や毛のように、歯が一生伸び続けます。そのため、爪や髪を切るのと同様、歯を削らなければ行けません。この伸び方、牧草などを食べていると、常に一定の長さに保たれると言われています。またそれだけでなく、歯がかゆいときなどに周りの物をかじったりします。この「まわりのもの」がかじり木になります。
かじり木と一口に言っても、本当に木の製品から、軽石・へちまの様な製品まであります。軽石は歯を痛めると言って嫌がる人もいますが、かんぱん王国では日常的に与えています。
せっかくかじり木を買っても興味を示さず、小屋やステージばかりをかじる子もいます。有機がその「かじり木に興味を示さず・・・」と言った子で、高いものばかりをかじるため「違いの分かるちんちら」などと言って飼い主馬鹿をやっています。
かじり木を入れていないとどうなるか。先ほども述べたように齧歯類の歯は一生伸び続けます。その為、歯が減ることなく伸び続けると、上の歯が下の口腔に、またその逆も、刺さることになり、採食困難に陥ります。これを不正咬合(ふせいこうごう)と言います。ちんちらの場合、ちゃんと牧草を食べ、かじる物があれば起きることはないとされ、ほとんどが遺伝性疾患とされています。ただし極端なボイコットした飼い方をすれば、どの個体にもリスクを伴います。かじる姿もなかなかかわいいので、ぜひ色々な種類を試してみて下さい。
[ちんちらのお風呂]
お風呂と言っても水につけるわけではありません。チンチラは1日に1回、体毛に分泌されるラノリンを落とすために「砂浴び」が必要です。砂浴びケースをケージに入れっぱなしにする人もいると思いますが、砂でおしっこをしてしまう子が多いので、衛生状態からかんぱん王国ではお奨めしていません。
ラノリンは淡黄色の軟膏様の物質だそうで、主成分はコレステロール、イソコレステロール、高級脂肪酸、高級アルコールおよびそのエステルだそうです。抱水性に優れ、軟膏剤の医薬品添加物や化粧品の添加物などにも用いられているそうです。ちなみにこれらは羊毛から精製されるそうですが・・・。市販もされているので、女性の方などはお使いの方もいるのではないでしょうか。
砂浴びを行なわないと、毛玉が出来、毛球症になると言われています。そのまえに、見た目がぼろぼろになってきます。ペットショップの項でも軽く触れましたが、つやが無くなり、がさがさした感じになります。砂浴びがあまり好きでない子が光沢感がない理由の1つではないかと思います。
砂浴び用のケースは市販されていますが、蓋の閉まる入れ物であれば代用は可能です。有機御殿では昔使っていたオールインワン30センチ水槽(ポンプ・照明などは取り外しています)、大奥御殿では梅酒瓶で砂浴びを行なっています。広いところで砂浴びをさせてあげた方が、砂浴びもしやすそうで、また見た目にもかわいいです。その分砂のコストもかかりますが。
砂は、市販されている物で、さらに細かい物がお奨めです。ちんちら用と書いてあっても粒子の大きさは意外と様々です。チンチラの一番の売り、「毛」を引き立たせてあげるためには良い砂の方が良いようです。細かさの基準は大体値段とシンクロしています。高い砂と安い砂、使い比べてみると違いが分かるのではないかと思います。高いものが全ていいとは思いませんが、細かく、銀粒子(殺菌?)が入っているものもあって、より毛のきれいさを引き立ててくれます。
砂浴びが終わったあと、砂の手入れを忘れないで下さい。おしっこをしてしまったままにしておけば不衛生ですし、定期的に砂を替える必要もあります。有機御殿では2週間に1度ほど砂を全取り返しています。以前は、砂浴び入れに脱臭・乾燥剤を入れていたのですが、最近はそれをするくらいだったら砂を替えてあげた方が良いかと思い、定期的に取り替えています。それ以外にもおしっこの失敗でやむを得ず交換することもありますが・・・。
使用後は、蓋を閉め、湿気が少ないところで保管することをおすすめします。においが気になるのか、同居でない多頭飼育で砂を使い回すとおしっこされる回数が増えるように思われます。また重複しますが、砂が汚れてくると「そろそろ砂替えて」と言わんばかりにおしっこされる場合もあります。砂を替えてすぐにおしっこされるケースもあるのですが・・・。
話は最初に戻りますが、ちんちらを水につけることはやめた方が良いと思います。ちんちらはもともと乾燥地帯に住んでいる生き物のため、体が濡れることは想定されていない生き物です。その為濡れたままにしておくと体温が奪われ、死に陥るとも言われています。昔、「うさぎに水をやってはいけない」と言われたのご存じでしょうか。この迷信で数えられないほどの飼いうさぎが死んでしまったそうですが、この話の起源も同じです。うさぎも体が濡れたままになることが想定されていない生き物のため、洗ったまま放置すると体温のコントロールができなくなります。そのため「洗ってはいけない」がいつも間にか「水を与えてはいけない」になったそうです。
ちんちらがもし濡れてしまったときは、乾いたタオルで何回も拭き乾かしてあげましょう。決して放置しないようにして下さい。
※ このコーナーで紹介する飼育方法は、一般的に飼育書に載っている内容の他、かんぱん王国での経験や使用人(飼い主)の知識を織り交ぜて説明しています。また、意見としての意味合いが強い部分もあります。ご理解してご覧下さい。
※ このページ中ではいくつか、紹介するという意味も込めて、トップページ以外のリンクを張らせていただきました。ホームページの開設者様の意図としないこととは思いますが、ご容赦いただければと思います。 |